派遣会社のマージン率ランキングは、各社開示の大手6社の代表事業所で低い順にアデコ28.0%(2024年)、パーソルテンプスタッフ30.2%、スタッフサービス30.5%、パソナ31.0%、マンパワーグループ31.1%、リクルートスタッフィング31.6%です。率の低さより還元の仕組みで比べます。
「マージン率が低い派遣会社を選べば、時給は上がるの?」「登録している会社の取り分って、高いほう?」
派遣の時給について考え始めると、一度は気になるのがマージン率ですよね。派遣会社は事業所ごとにマージン率を公開していますが、PDFの形式も対象期間も会社ごとにばらばらで、ネット上には2021年頃に公開された古い値も今なお残っています。
そこでこの記事では、時点で確認できた各社の開示資料と、厚生労働省「派遣会社のマージン率等について」が案内する公開情報だけを使い、主要各社のマージン率を事業所・対象期間つきで並べました。事業所や年度で順位が入れ替わること、業界平均の正しい読み方、マージンの中身、率より還元の仕組みで選ぶ方法、開示前の新設派遣会社の見方まで、順番に確認していきましょう。
この記事のサマリー
- 一覧の結論:各社開示の大手6社の代表事業所のマージン率は、低い順にアデコ28.0%(2024年)、パーソルテンプスタッフ30.2%、スタッフサービス30.5%、パソナ31.0%、マンパワーグループ31.1%、リクルートスタッフィング31.6%です(アデコ以外は2025年度・2025年分)。
- 読み方:マージン率は事業所・年度ごとに違い、全事業所の中央値ではアデコ29.7%が最も低く、パソナ33.2%が最も高くなります。
- 業界平均:厚生労働省の令和6年度集計からの単純計算は36.3%ですが、派遣料金が税込のため、税抜の参考試算では約29.9%です。
- 選び方:率の低さより、マージンが賃金水準・評価と昇給・教育訓練・雇用の安定にどう還元されるかで比べます。
- JAPAN TALENT AGENTの扱い:JAPAN TALENT AGENT(派13-318510)は2026年3月許可の新設事業者でマージン率は開示前のため順位対象外ですが、常用雇用型(無期雇用)で待機中も規定の月額保証があり、雇用の安定を重視する人の最上位候補です(公式サイトでカジュアル面談を受付)。
※ マージン率・派遣料金・賃金は各社公式の開示資料と厚生労働省「人材サービス総合サイト」の公開情報に基づきます(確認日:2026年10月9日)。対象期間・事業所は会社ごとに異なり、各社の派遣料金が税込か税抜かは開示資料に記載がありません。
各社の開示資料で確認できた代表事業所のマージン率(低い順)
代表事業所は各社の本社事業所を基本とし、パーソルテンプスタッフとスタッフサービスは新宿の主要事業所の値としました。
| 順位 | 派遣会社(許可番号) | 代表事業所 | 対象期間 | 派遣料金平均(1人1日8時間) | 賃金平均(1人1日8時間) | マージン率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アデコ(派13-010531) | 本社(千代田区霞が関3-7-1) | 2024年1月1日〜12月31日(他社より1年古い値) | 20,852円 | 15,019円 | 28.0% | アデコ開示資料(PDF) |
| 2 | パーソルテンプスタッフ(派13-010026) | 新宿オフィス(渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー) | 2025年度 | 21,864円 | 15,272円 | 30.2% | パーソルテンプスタッフ開示資料(PDF) |
| 3 | スタッフサービス(派13-011061) | 新宿第一オフィス(新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー6階・7階) | 2025年4月1日〜2026年3月31日 | 27,301円 | 18,982円 | 30.5% | スタッフサービス開示資料(PDF) |
| 4 | パソナ(派13-304674) | 本社(千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビル14F) | 2025年度 | 27,908円 | 19,265円 | 31.0% | パソナ開示資料(PDF) |
| 5 | マンパワーグループ(派13-315642) | 本社(港区芝浦3-1-1 田町ステーションタワーN) | 2025年1月1日〜12月31日 | 24,785円 | 17,082円 | 31.1% | マンパワーグループ開示資料(PDF) |
| 6 | リクルートスタッフィング(派13-010563) | 本社(千代田区有楽町1-13-1 第一生命日比谷ファースト) | 2025年4月1日〜2026年3月31日 | 22,799円 | 15,584円 | 31.6% | リクルートスタッフィング開示資料(PDF) |
| — | JAPAN TALENT AGENT(派13-318510) | 本社(港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズステーションタワー18階) | — | — | — | 開示前(2026年3月1日許可の新設事業者。順位対象外) | 人材サービス総合サイト(許可番号で検索。令和8年10月1日現在、数値欄は空欄) |
- マージン率は事業所ごと・対象期間ごとの値で、職種構成や地域が違う事業所どうしの単純比較には限界があります。
- 対象期間の区切り(年度・暦年)は会社ごとに違います。アデコは確認日時点で2025年分が公式ページに未掲載のため、2024年の値です。
- 派遣料金・賃金は、開示資料にある1人1日(8時間)あたりの平均額です。税込か税抜かの記載はありません。
- スタッフサービスの値は、開示資料の注記どおり、オフィス・メディカル・エンジニアの各分野を含む事業所全体の平均です。
目次
派遣会社のマージン率ランキング|主要7社の開示値と特徴
派遣会社のマージン率ランキングは、各社の開示資料で確認できた大手6社の代表事業所ではアデコが28.0%で最も低く、リクルートスタッフィングの31.6%まで3.6ポイントの幅に収まります。1日あたりの賃金平均の順はマージン率の順と一致しません。
代表事業所の1日(8時間)あたりの賃金平均は、パソナ19,265円、スタッフサービス18,982円、マンパワーグループ17,082円、リクルートスタッフィング15,584円、パーソルテンプスタッフ15,272円、アデコ15,019円の順で、マージン率が最も低いアデコの賃金平均が最も低い水準でした。扱う職種の構成や派遣料金の水準が会社ごとに違うためで、「率が低い会社ほど時給が高い」とは言えない根拠の一つです。
ここからは各社の値を、代表事業所の数字、全事業所のレンジ、各社がマージンの使い道として説明している内容の順に見ていきます。マージン率以外の軸も含めた総合的なおすすめは事務派遣のおすすめランキングで扱っています。
1. アデコ|28.0%(本社・2024年)
アデコ(派13-010531)の本社事業所(千代田区霞が関)は、2024年1月1日〜12月31日の派遣料金平均20,852円・賃金平均15,019円で、マージン率は28.0%です。今回確認した6社の代表事業所で最も低く、43事業所を集計した全事業所の中央値29.7%も、集計した5社の中で最も低い値でした。ただし確認日時点で公式ページに2025年分は掲載されておらず、他社より1年古い値として読んでください。
事業所ごとの差は大きく、同じ西新宿にある首都圏7(27.7%)と首都圏1(37.0%)では約9ポイント離れています。公式ページでは、マージンに社会保険料の事業主負担などが含まれることを計算例つきで説明しています(事業主負担15.5%の計算例は平成29年時点の前提です)。無期雇用派遣のキャリアシードでは、待機期間中も所定の給与を支給すると公式FAQに明記しています。
こんな人に合う:公表されたマージン率の低さを重視しながら、大手の中から登録先を選びたい人。
出典:アデコのマージン率公開ページ(確認日:2026年10月9日)
2. パーソルテンプスタッフ|30.2%(新宿オフィス・2025年度)
パーソルテンプスタッフ(派13-010026)の新宿オフィス(渋谷区代々木 新宿マインズタワー)は、2025年度の派遣料金平均21,864円・賃金平均15,272円で、マージン率は30.2%です。同社は71事業所の値を開示していて、実績0.0%の2事業所を除いた69事業所の中央値は30.6%、東京23区の事業所は丸の内28.0%から錦糸町30.2%の範囲に収まっています。
公式の説明では、マージンには社会保険料(約半分を派遣会社が負担)、有給休暇の費用、募集費・教育費・福利厚生費、社員の人件費やシステム・家賃などの経費が含まれます。ネット上には「25.0%」という値も残っていますが、これは2021年頃に公開された値で、最新の開示値ではありません。無期雇用派遣のfuntable(ファンタブル)は、次の就業先が決まるまでの間も雇用関係が続くと公式FAQで説明しています。
こんな人に合う:登録する事業所の選択肢が多い会社で、事業所ごとの値を細かく見比べたい人。
出典:パーソルテンプスタッフのマージン率公開ページ(確認日:2026年10月9日)
3. スタッフサービス|30.5%(新宿第一オフィス・2025年度)
スタッフサービス(派13-011061)の新宿第一オフィス(新宿区西新宿 新宿エルタワー)は、2025年4月1日〜2026年3月31日の派遣料金平均27,301円・賃金平均18,982円で、マージン率は30.5%です。賃金平均はパソナ本社に次いで6社中2番目に高い水準でした。開示資料の注記どおり、この金額はオフィス・メディカル・エンジニアの各分野を含む事業所全体の平均です。
同オフィスの派遣労働者数は3,985人(2026年6月1日現在)、派遣先事業所数は2,083件(2025年度)です。開示資料には派遣料金の内訳も円単位で載っていて、マージンの中身を具体的に確かめられます。人材サービス総合サイトの同社欄は自社ページへのリンクが中心のため、確認は公式の情報公開ページにある事業所別のPDFで行うのが確実です。なお、本記事では同社の全事業所の値は集計していません。
無期雇用派遣のミラエールでは、クラス評価制度による年1回の昇給と、半期に一度の評価面談を公式募集ページで案内しています。
こんな人に合う:事務職の無期雇用で、評価と昇給の仕組みが明文化された環境を選びたい人。
出典:スタッフサービスの情報公開ページ(マージン率等)(確認日:2026年10月9日)
4. パソナ|31.0%(本社・2025年度)
パソナ(派13-304674)の本社(千代田区丸の内 新丸の内ビル)は、2025年度の派遣料金平均27,908円・賃金平均19,265円で、マージン率は31.0%です。賃金平均は6社の代表事業所で最も高い値でした。一方、59事業所を集計した中央値は33.2%で集計5社の中で最も高く、飯田橋19.9%から豊田35.5%まで事業所による幅も大きい会社です。南青山のパソナ本部は32.4%でした。
本社の開示資料では、マージンの使い道として有給休暇、社会保険料の事業主負担分、教育訓練、相談窓口、総合福利厚生サービス、健康診断のオプション検査の無料受診、月給制の導入などを挙げています。
こんな人に合う:福利厚生の幅を重視し、賃金水準の高い事業所の求人も見てみたい人。
出典:パソナ本社の開示資料(PDF)(確認日:2026年10月9日)
5. マンパワーグループ|31.1%(本社・2025年)
マンパワーグループ(派13-315642)の本社(港区芝浦 田町ステーションタワーN)は、2025年1月1日〜12月31日の派遣料金平均24,785円・賃金平均17,082円で、マージン率は31.1%です。58事業所を集計した中央値は31.0%で、都内の日本橋第一オフィスは30.9%、新宿オフィスは30.4%でした(いずれも2025年)。
開示資料では、マージンに法定福利費・法定外福利費・教育訓練費・事業経費などが含まれると説明しています。人材サービス総合サイトの事業所詳細ページにも数値を直接載せていて、公式ページには計算式の図もあるため、初めて調べる人にも確認しやすい会社です。無期雇用派遣はM-Shine(エムシャイン)を展開しています。
こんな人に合う:数値の確認しやすさを重視し、自分で事業所ごとの値を照合したい人。
出典:マンパワーグループの情報公開ページ(確認日:2026年10月9日)
6. リクルートスタッフィング|31.6%(本社・2025年4月〜2026年3月)
リクルートスタッフィング(派13-010563)の本社(千代田区有楽町 第一生命日比谷ファースト)は、2025年4月1日〜2026年3月31日の派遣料金平均22,799円・賃金平均15,584円で、マージン率は31.6%です。19事業所を集計した中央値は32.0%で、全事業所が30.6〜33.6%に収まり、事業所による差が小さいのが特徴です。
開示資料では「マージンには、派遣労働者の社会保険料、有給休暇費用、福利厚生費や教育訓練費なども含まれています」と説明しています。無期雇用派遣のキャリアウィンクでは、半期に1度のフィードバック面談を公式に案内しています。
こんな人に合う:どの事業所で登録しても条件の差が小さい会社で、定期的に評価のフィードバックを受けたい人。
出典:厚生労働省「人材サービス総合サイト」掲載のリクルートスタッフィング本社の情報提供資料(PDF)(確認日:2026年10月9日)
7. JAPAN TALENT AGENT|開示前(2026年3月許可)
JAPAN TALENT AGENT(派13-318510)は、2025年10月1日に設立され、2026年3月1日に労働者派遣事業の許可を受けた新設の派遣会社です。本社は東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズステーションタワー18階。母体はHitotechnologyとエイトビットで、同社によれば両社の合弁です。Hitotechnologyは採用プロデュース実績13,600社以上(一般社団法人 日本メディアリサーチ調べ)を公表していて、現在は上場準備中です。法定のマージン率は前事業年度の実績で算定する仕組みのため現時点では開示前で、本記事では率による順位を付けていません。
正直にお伝えすると、確認できる情報はまだ限られています。人材サービス総合サイトではマージン率のほか、労使協定やキャリア形成支援の欄も空欄で(令和8年10月1日現在)、公式サイトにも労働者派遣法に基づく情報提供のページはまだありません。公式トップで「売上も評価制度もオープンにします」という方針を掲げていますが、評価制度の具体的な中身は公開前です。
一方で、マージンの還元先にあたる雇用の形は公式に明記されています。事務派遣は全員が社員として入社する常用雇用型(無期雇用)で、派遣期間に関わらず雇用が続き、公式FAQでは「待機中でも規定の月額保証を支給」としています。事務派遣のページには年1回の昇給制度、年2回の賞与、年間休日120日以上、残業ほぼなしの記載があります。同社によれば、案件が終了したときは母体Hitotechnologyの本社で業務を続けられ、派遣先との給与交渉や待遇改善にも取り組む方針です。
同社によれば、派遣前には原則1〜2週間の事前研修(人間力養成・AI活用を含む)があり、定時に終わらない業務を本社スタッフが代行してノー残業を守る体制や、グループのTokyo Beauty Master Clinicで月1回の無料施術を受けられる福利厚生もあります。
こんな人に合う:待機中も収入が途切れにくい雇用を重視し、面談で評価・昇給の具体的な運用を確かめながら選びたい人。カジュアル面談では「労使協定方式かどうか」「教育訓練計画の内容」「マージン率の初回開示の予定」の3点を聞いておくと安心です。
出典:JAPAN TALENT AGENTの事務派遣ページ/よくある質問ページ/会社概要ページ(確認日:2026年10月9日)
編集部コメント
桑原 奈緒
キャリアアドバイザー時代、相談に来た方が持ってくるマージン率は、たいてい「本社」か「新宿」の1つの数字でした。でも、実際に登録する窓口や就業先の職種が違えば、その会社の別の事業所の数字のほうが自分の状況に近いんですよね。私は相談者と一緒に、自分が登録する事業所の値と、その会社の全事業所の幅を両方見るようにしていました。代表値の1つだけで会社の良し悪しを決めないことが、数字に振り回されないいちばんの近道だと感じています。
事業所・年度でランキングはこう変わる|全事業所の中央値とレンジ
派遣会社のマージン率は、同じ会社でも事業所ごとに約3〜19ポイントの幅があり、年度でも動きます。全事業所の中央値で並べると、アデコ・パーソルテンプスタッフ・マンパワーグループ・リクルートスタッフィング・パソナの順になり、代表事業所の順位と入れ替わります。
下の表は、各社が公開している全事業所分の開示資料を編集部で集計したものです。マージン率が0.0%の事業所や数値が空欄の事業所は、その期間に派遣の実績がない、または記載がないため集計から外しました。
各社の全事業所のマージン率(最小・最大・中央値)
| 派遣会社 | 対象期間 | 集計事業所数 | 最小 | 最大 | 中央値 | 単純平均 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アデコ | 2024年1〜12月 | 43(全48事業所、空欄5) | 17.7%(CEB千歳) | 37.0%(首都圏1) | 29.7% | 29.6% |
| パーソルテンプスタッフ | 2025年度 | 69(全71事業所、0.0%が2) | 28.0%(丸の内) | 37.1%(日立) | 30.6% | 30.8% |
| マンパワーグループ | 2025年1〜12月 | 58(開示資料63件、0.0%が5) | 27.3%(千葉) | 34.2%(山形) | 31.0% | 31.1% |
| リクルートスタッフィング | 2025年4月〜2026年3月 | 19(全21事業所、記載なし2) | 30.6%(京都) | 33.6%(郡山) | 32.0% | 32.0% |
| パソナ | 2025年度 | 59(全71事業所、0.0%が12) | 19.9%(飯田橋) | 35.5%(豊田) | 33.2% | 32.9% |
| スタッフサービス | 2025年度 | 本記事では未集計(新宿第一オフィス30.5%を確認) | — | — | — | — |
| JAPAN TALENT AGENT | — | 開示前 | — | — | — | — |
出典:各社公式の開示資料(全事業所分)と厚生労働省「人材サービス総合サイト」の掲載資料を編集部で集計(確認日:2026年10月9日)。中央値の低い順に並べています。
同じ会社・同じエリアでも事業所で差が出る
同じ会社の同じエリアでも、事業所が違えばマージン率は大きく変わります。アデコの場合、同じ西新宿にある首都圏7は27.7%、首都圏1は37.0%で、約9ポイントの差がありました(いずれも2024年)。
派遣料金の平均はどちらも約20,700〜20,800円でほぼ同じで、差は賃金の平均額(首都圏7は14,986円、首都圏1は13,111円)から生まれています。扱う職種の構成や案件の違いが影響している可能性はありますが、開示資料から理由まではわかりません。だからこそ、比べるときは会社の代表値ではなく、自分が登録・就業する事業所の値を確認するのが確実です。
年度で数字は動く|古い数字の見抜き方
マージン率は毎年の実績で計算し直されるため、年度が変われば値も動きます。ネット上には2021年頃に公開された値が今も残っていて、たとえばパーソルテンプスタッフ新宿オフィスの「25.0%」はその一つです。同じ新宿オフィスの最新の開示値は30.2%(2025年度)でした。
古い数字を見抜くポイントは、次の2つです。
- 対象期間(年度・暦年)が書かれていない一覧は、比較の材料にしない
- 気になる会社は、公式の開示ページで最新の年度と事業所名を確かめてから比べる
派遣会社のマージン率の平均は何%?|業界全体と事務職の目安
派遣会社のマージン率の平均は、厚生労働省の令和6年度集計から計算すると全業務平均で36.3%ですが、集計の派遣料金が消費税込みの額のため、消費税10%分を除いた参考試算では約29.9%です。一般事務従事者は単純計算32.5%、参考試算で約25.7%です。
よく見かける「平均36.3%」という数字は、派遣料金と賃金の集計値から計算した値で、厚生労働省がマージン率として公表している数字ではありません。事務職の主な区分もあわせて、次の表に整理しました。
派遣料金と賃金の差の割合(令和6年度・1人1日8時間あたり)
| 区分(令和6年度) | 派遣料金(8時間・税込) | 賃金(8時間) | 単純計算 | 消費税10%を除いた参考試算 |
|---|---|---|---|---|
| 全業務平均 | 26,257円 | 16,735円 | 36.3% | 約29.9% |
| 一般事務従事者 | 18,112円 | 12,231円 | 32.5% | 約25.7% |
| 会計事務従事者 | 19,227円 | 12,719円 | 33.8% | 約27.2% |
| 営業・販売事務従事者 | 19,274円 | 13,098円 | 32.0% | 約25.2% |
| 事務用機器操作員 | 20,297円 | 13,383円 | 34.1% | 約27.5% |
- 集計表の注記に「派遣料金は、消費税を含む額の記載である」とあります。賃金は消費税と関係がないため、単純計算の36.3%は税込の料金を分母にした値です。
- 全業務平均は各事業所の値を単純に平均したもので、人数などで重みづけした加重平均ではありません。
- 表の割合は、厚生労働省が公表したマージン率ではなく、集計値から編集部が計算した参考試算です。
- 税抜換算は、派遣料金に消費税10%が一律に含まれると仮定した試算です。
- 各社の開示資料のマージン率が税込・税抜どちらの料金で計算されているかは、開示資料に記載がありません。
- 出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(PDF)(2026年3月31日公表)
前年度(令和5年度)の同じ計算では36.1%でした。なお、労働者派遣法にはマージン率の上限の定めはありません。数字の上では、各社の代表事業所の開示値(28.0〜31.6%)は、税込の単純計算より税抜の参考試算に近い水準です。
事務職の時給相場と派遣会社の比較は、一般事務派遣のおすすめで扱っています。
マージンの中身|派遣料金の内訳と各社の使い道
派遣会社のマージンは、派遣会社の利益そのものではなく、社会保険料の事業主負担・有給休暇の費用・教育訓練費・福利厚生費・営業や管理の経費・営業利益の合計です。日本人材派遣協会が示す目安では、派遣料金の70.0%が派遣社員の給与で、営業利益は1.2%です。
「ピンハネ」という言葉で語られることもあるマージンですが、中身を分けてみると、派遣で働く人の社会保険や有給休暇のために必ずかかる費用が大きな割合を占めています。目安の構成と、実際の開示資料の内訳を順に見ていきましょう。
派遣料金の構成の目安(日本人材派遣協会)
一般社団法人日本人材派遣協会は、「データ」ページで派遣料金の構成の目安を次のように示しています。
派遣料金の構成の目安(日本人材派遣協会)
| 構成要素 | 派遣料金に占める割合 |
|---|---|
| 派遣社員の給与 | 70.0% |
| 社会保険料 | 10.9% |
| 派遣社員の有給費用 | 4.2% |
| 諸経費 | 13.7% |
| 営業利益 | 1.2% |
この目安の社会保険料10.9%は、事業主負担率15.5%(平成29年時点)に給与の70%を掛けて計算した、少し前の前提の値です。同協会は2025年度の事業主負担を約16.3%と示していて、この率で計算し直すと約11.4%になります。あくまで「目安の構成」として見てください。
円で見るとこうなる|一次資料の実例
スタッフサービス新宿第一オフィスの開示資料(2025年4月1日〜2026年3月31日)には、1人1日8時間あたりの派遣料金の内訳が円単位で載っています。
派遣料金27,301円の内訳(スタッフサービス新宿第一オフィス・2025年度)
社会保険・教育訓練+募集費等・販売費+管理費+利益を足すと8,319円で、派遣料金27,301円と賃金18,982円の差、つまりマージンと一致します。社会保険の約11.4%は、協会の目安を2025年度の事業主負担率で計算し直した約11.4%とほぼ同じ水準です。
ただし、この資料は有給休暇の費用を賃金の側に含めて示しているのに対し、協会の目安は有給費用を給与とは別の項目にしています。資料によって区分が違うため、内訳の割合は資料をまたいで単純に比べないようにしましょう。
出典:スタッフサービス新宿第一オフィスの開示資料(PDF)(確認日:2026年10月9日)。金額は開示資料の注記どおり、オフィス・メディカル・エンジニアの各分野を含む事業所全体の平均です。
各社がマージンの使い道として説明していること
各社と厚生労働省は、マージンに含まれるものを次のように説明しています。いずれも公式の開示資料・公式ページの記載の範囲です。
| 説明している主体 | マージンに含まれるもの(公式の説明) |
|---|---|
| パーソルテンプスタッフ | 社会保険料(約半分を派遣会社が負担)、有給休暇費用、募集費・教育費・福利厚生費、その他経費(社員の人件費、システム、家賃) |
| パソナ(本社) | 有給休暇、社会保険料の事業主負担分、教育訓練、相談窓口、総合福利厚生サービス、健康診断のオプション検査の無料受診、月給制の導入など |
| リクルートスタッフィング(本社) | 派遣労働者の社会保険料、有給休暇費用、福利厚生費や教育訓練費など |
| マンパワーグループ | 法定福利費・法定外福利費・教育訓練費・事業経費など |
| 厚生労働省 | 社会保険料、教育訓練費なども含まれるため、マージン率は低いほどよいわけではなく、ほかの情報と組み合わせて総合的に評価することが重要 |
このほか、労使協定方式では、退職金に相当する額や通勤手当など待遇を確保するための費用も賃金に含まれ、その分が派遣料金に反映されます。
マージン率が低い派遣会社=良い派遣会社とは限らない理由
マージン率が低い派遣会社は、必ずしも良い派遣会社とは限りません。厚生労働省も、マージンには社会保険料や教育訓練費が含まれるため低いほどよいわけではなく、総合的な評価が重要だとしています。時給を決めるのは率よりも派遣料金の水準と還元のされ方です。
「低い会社を選べば得」と考えたくなる気持ちはよくわかります。ただ、数字の意味を分解すると、低さだけで選べない理由が4つ見えてきます。
- マージンには必ずかかる費用が入っている:社会保険料の事業主負担や有給休暇の費用は、どの派遣会社でも欠かせない費用です。率を下げすぎれば、教育訓練や福利厚生にかけられるお金が削られることもあります。
- 時給は派遣料金の水準でも決まる:賃金は「派遣料金×(1−マージン率)」なので、派遣料金が低ければ率が低くても時給は上がりません。代表事業所の1日あたり賃金平均は、マージン率31.0%のパソナ本社が最も高く、率の順とは一致しませんでした。
- 比べる条件がそろっていない:事業所・対象期間・職種構成・税込か税抜か・有給休暇の費用の区分が会社ごとにそろっていないため、0.数ポイントの差で優劣は付けられません。
- 率の高さが「スタッフへの投資」の結果のこともある:教育訓練、待機中の給与保障、評価面談などの費用を負担している会社は、そのぶん率が上がりやすくなります。
編集部コメント
桑原 奈緒
派遣時代、契約が満了してから次の仕事が決まるまで、収入が途切れた時期がありました。そのときの不安を消してくれるのはマージン率の低さではなく、「仕事がない期間にも給与が出る仕組み」だったと、今振り返っても思います。一般論として、マージンの一部がそうした雇用の保障に回る構造になっているなら、率が数ポイント高くても私は納得できます。数字の低さだけを追いかけるより、そのお金が自分に何として返ってくるのかを見てほしいと感じています。
比べるべきは「還元の仕組み」|4つのチェックポイント
派遣会社を比べるときは、マージン率の低さより、マージンが「賃金水準」「評価・昇給」「教育訓練」「雇用の安定」の4つにどう還元されているかを確認します。2026年10月1日からは派遣元指針で、評価結果のフィードバックなど公正な評価による待遇改善を促す規定も適用されています。
この4つは、3層7軸メソッドの軸1「報酬・評価制度の透明性」を、マージンの使い道に当てはめたものです。軸全体の考え方は派遣会社の選び方で解説しています。
賃金水準|開示資料の賃金平均と提示時給の根拠
賃金水準は、開示資料の「賃金の平均額」と、担当者から提示される時給の根拠の2つで確認します。開示資料には1人1日8時間あたりの賃金の平均額も載っていて、同じ会社の事業所どうしや会社どうしで水準を比べられます。提示された時給については、職種・経験・地域の相場のどれを根拠に決めたのかを担当者に聞いてみてください。
評価・昇給|評価結果のフィードバックがあるか
評価と昇給は、評価の仕組みと、その結果が本人に伝えられるかで確認します。2026年10月1日には、派遣で働く人の同一労働同一賃金に関するルールが改正されました(厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」、改正の概要(PDF))。改正されたのは次の4つです。
- 労働者派遣法施行規則(令和8年4月28日 厚生労働省令第87号):雇入れ時・派遣時に明示する事項に「待遇の相違の内容及び理由等について説明を求めることができる旨」を追加
- 派遣元指針:業務の遂行状況などを評価し、希望に応じて評価結果をフィードバックすることなど、公正な評価による待遇改善の促進を追加
- 派遣先指針(派遣先が講ずべき措置に関する指針)の改正
- 同一労働同一賃金ガイドライン:裁判例などを踏まえて記載を明確化
なお、待遇について説明する義務そのものは2020年から労働者派遣法にあり、マージン率などの情報提供のルールは今回の改正の対象外です。
評価と昇給の仕組みを公式に明記している例としては、スタッフサービスのミラエール(クラス評価制度による年1回の昇給と半期に一度の評価面談)や、リクルートスタッフィングのキャリアウィンク(半期に1度のフィードバック面談)があります。JAPAN TALENT AGENTは「売上も評価制度もオープンにします」という方針を公式トップに掲げていて、評価制度の具体的な中身は面談で確認する段階です。
教育訓練|就業前・就業中の研修と費用負担
教育訓練は、法律で情報提供が決まっている項目(キャリア形成支援制度)の一つで、各社の開示資料で研修の内容や対象、費用負担、研修中に賃金が出るかどうかを確認できます。就業前の研修がどのくらいの期間あるかを登録前に見ておくと、マージンが自分の成長にどう使われるかが見えてきます。同社によれば、JAPAN TALENT AGENTは派遣前に原則1〜2週間の事前研修(人間力養成・AI活用を含む)を行っています。研修の期間や内容で派遣会社を比べた結果は、研修ありの事務派遣おすすめで紹介しています。
雇用の安定|無期雇用・待機中の給与の扱い
雇用の安定は、派遣の契約がない期間の収入の扱いで確認します。登録型派遣は派遣契約が終わると雇用も終わり、次の仕事が決まるまで無給になることがあります。一方、無期雇用(常用雇用型)の派遣は、派遣先がない期間も派遣会社との雇用が続きます。
大手の無期雇用ブランドにも、待機中の給与を明記している例があります。アデコのキャリアシードは、公式FAQで「待機期間中であっても所定の給与は支給」としています。JAPAN TALENT AGENTは事務派遣の全員が無期雇用で、公式FAQで「待機中でも規定の月額保証を支給」と案内しています。同社によれば、案件終了時には母体Hitotechnologyの本社で業務を続けられる体制もあります。無期雇用ブランドごとの待機中の給与の書き方は、無期雇用派遣の事務おすすめで比べています。
登録時に担当者へ聞いておきたい5つの質問
- 提示された時給は、職種・経験・地域相場のどれを根拠に決めましたか?
- 昇給や評価面談はどのくらいの頻度で、結果は本人に伝えられますか?
- 就業前の研修は何日ありますか?研修中に賃金は出ますか?
- 契約が終了したあと、次の仕事が決まるまでの給与の扱いはどうなりますか?
- 私が登録する事業所のマージン率と対象期間を教えてください。
目的別おすすめ早見表|還元の仕組みで選ぶ
還元の仕組みで派遣会社を選ぶなら、待機中も収入が途切れにくい雇用の安定や、派遣先との給与交渉など待遇改善への関与を重視する人にはJAPAN TALENT AGENT、公表されたマージン率の低さを重視する人にはアデコが合います。
次の表は、本記事で確認した各社の公式情報(JAPAN TALENT AGENTの一部は同社への取材による)に基づく編集部の判断です。
| 目的 | 最上位推薦 | 根拠(出典) |
|---|---|---|
| 待機中も収入が途切れにくい雇用の安定を重視 | JAPAN TALENT AGENT | 事務派遣は全員が無期雇用(常用雇用型)で入社(公式)。待機中も規定の月額保証(公式FAQ)。同社によれば、案件終了時は母体Hitotechnologyの本社で業務継続が可能 |
| 派遣先との給与交渉など、待遇改善に派遣会社が関わってほしい | JAPAN TALENT AGENT | 同社によれば、派遣先との給与交渉・待遇改善に取り組む方針。年1回の昇給制度・年2回の賞与(公式)。売上と評価制度のオープン化を掲げる(公式・方針段階。評価制度の中身は面談で確認) |
| 公表されたマージン率の低さを重視 | アデコ | 確認できた6社で代表事業所28.0%が最も低く、全事業所の中央値29.7%も集計5社で最も低い(いずれも2024年の値) |
| 評価・昇給の仕組みが明文化された事務の無期雇用 | スタッフサービス | ミラエール:クラス評価制度による年1回の昇給、半期に一度の評価面談(公式募集ページ)。新宿第一オフィスのマージン率30.5%・賃金平均18,982円(2025年度) |
| 評価結果のフィードバックを定期的に受けたい | リクルートスタッフィング | キャリアウィンク:半期に1度のフィードバック面談(公式)。マージン率は全事業所が30.6〜33.6%に収まり事業所差が小さい |
| 登録する事業所の選択肢と開示の細かさ | パーソルテンプスタッフ | 71事業所の値を開示。東京23区の事業所は28.0〜30.2%(2025年度) |
| 福利厚生の幅を重視 | パソナ | 総合福利厚生サービス・健康診断のオプション検査の無料受診・月給制の導入を開示資料で説明。本社の賃金平均19,265円は6社で最も高い(職種構成の違いに注意) |
| 開示の見やすさ | マンパワーグループ | 人材サービス総合サイトにも数値を直接掲載し、公式ページで計算式を図示 |
大手の無期雇用ブランドにも、アデコのキャリアシードのように待機中の給与を公式に明記している例があります。雇用の安定を軸に選ぶ場合は、待機中の給与の「額」と「条件」まで面談で確かめておくと安心です。マージン率以外も含めた総合的な派遣会社選びは、派遣会社の比較ランキングで扱っています。
マージン率が未開示の派遣会社はどう見る?|公開ルールと新設事業者の扱い
マージン率を公開していない派遣会社を一律に避ける必要はありません。法定のマージン率は前事業年度の実績で算定し、事業年度の終了後に前年度分を公表する仕組みのため、許可を受けて間もない新設の派遣会社には公表できる実績がまだないことがあります。
マージン率の計算式と、法律で公開が決まっている項目
マージン率の計算式は、労働者派遣法23条5項と同法施行規則18条の2第2項で次のように決められています。派遣労働者1人1日(8時間)あたりの額を使い、加重平均で計算して、小数点以下1位未満は四捨五入します。
マージン率=(派遣料金の平均額−派遣労働者の賃金の平均額)÷派遣料金の平均額
マージン率のほかにも、派遣会社が事業所ごとに情報提供する項目は法律で決まっています。
| 情報提供の項目 | 根拠 | 主なポイント |
|---|---|---|
| 派遣労働者の数 | 法23条5項 | 時点を明記(例:6月1日現在) |
| 派遣先の数 | 法23条5項 | 直近の事業報告の数 |
| 派遣料金の平均額 | 施行規則18条の2第3項 | 1人1日8時間あたり |
| 賃金の平均額 | 施行規則18条の2第3項 | 1人1日8時間あたり |
| マージン率 | 法23条5項・施行規則18条の2第2項 | 前事業年度の実績。事業所単位が基本 |
| 労使協定方式かどうか・対象者の範囲・協定の有効期間の終期 | 施行規則18条の2第3項 | 協定の締結・変更時に速やかに提供 |
| 教育訓練(キャリア形成支援制度) | 法23条5項 | 教育訓練計画やキャリアコンサルティングの窓口 |
| その他参考となる事項 | 施行規則18条の2第3項 | 福利厚生など |
提供方法はインターネットなどで、厚生労働省は自社サイトに加えて人材サービス総合サイトの活用が望ましいとしています。マージン率などの公開は、2012年の労働者派遣法改正で義務付けられました(厚生労働省「派遣会社のマージン率等について」の記載)。条文は労働者派遣法と労働者派遣法施行規則(いずれもe-Gov法令検索)で確認できます。
いつ公開されるか|前事業年度の実績を毎年公表する仕組み
マージン率は、事業年度が終わったあとに前年度分の実績を公表する仕組みです。厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領(PDF)では、情報提供は少なくとも「毎事業年度終了後可能な限り速やかに前年度分の実績を公表」することが必要とされています。
一方、労使協定に関する事項は、協定を締結したときや変更があったときに速やかに提供する項目で、実績値のマージン率とは扱いが違います。
新設の派遣会社のケース|JAPAN TALENT AGENTの場合
JAPAN TALENT AGENTは2025年10月1日に設立され、派遣許可を受けたのは2026年3月1日です(人材サービス総合サイトの記載)。令和8年10月1日現在、同サイトの数値欄とPDF・URLの掲載欄は空欄で、公式サイトにも情報提供のページはありません。
許可から間もない会社は、前事業年度の実績として公表できるマージン率がまだない、または集計中の段階にあたります。同社は決算期を公表していないため、初回の開示時期はわかりません。現時点の未開示を法令違反と断じる根拠はなく、本記事では開示が確認でき次第、一覧に反映します。
要注意の基準|開示対象の事業年度を経ても公開しない場合
注意したいのは、開示の対象となる事業年度を経ても公開しない場合です。次の2つが重なるときは、慎重に判断しましょう。
- 許可から事業年度を終えて相当の期間がたつのに、人材サービス総合サイトにも自社サイトにもマージン率がない
- 問い合わせても、事業所別の値や公開の予定を答えない
新設の会社でも、登録前に次の点は確認できます。
- 許可日(人材サービス総合サイトで確認できます)
- マージン率の公開予定
- 実績を待たずに示せる項目として、労使協定方式かどうかと教育訓練計画
あわせて、母体企業の事業基盤も判断材料になります。JAPAN TALENT AGENTの場合は、母体がHitotechnologyとエイトビットで、同社によれば両社の合弁です。新興派遣会社の信頼性全般の見極め方は、派遣会社の選び方で解説しています。
派遣会社のマージン率を自分で調べる4ステップ
派遣会社のマージン率は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で会社名か許可番号から事業所を探し、各社公式の「労働者派遣法に基づく情報提供」ページで最新年度を照合する、という順で調べられます。
検索には人材サービス総合サイトの事業所検索を使います。
- 会社名か許可番号で事業所を探す:人材サービス総合サイトで会社名または許可番号(派13-〇〇〇〇〇〇)を検索し、事業所の一覧を開きます。
- 登録・就業する事業所の値を確認する:自分が登録・就業する予定の事業所の詳細ページで、対象期間・派遣料金・賃金・マージン率を確認します。数値が空欄なら、掲載されたPDFやURLから公式資料を開きます。
- 公式ページで最新年度と照合する:各社公式の情報提供ページで最新年度の値と照合し、対象期間と事業所をそろえて比べます。許可日も人材サービス総合サイトで確認できます。
- マージン率以外の項目もあわせて確認する:教育訓練の内容・労使協定の有無・賃金の平均額もあわせて確認し、登録時には担当者に提示時給の根拠を聞きます。
開示資料の形式が会社ごとにばらばらで比べにくいという情報の非対称性は、一ノ瀬真理子氏との対談でも話題になりました。
FAQ|派遣会社のマージン率でよくある質問
派遣会社のマージン率でよくある質問は、各社の順位と平均値、時給との関係、含まれる費用、事業所による違い、未開示の会社の見方、確認方法、無期雇用での見方の8つです。いずれも各社の開示資料と厚生労働省の公開情報に基づいて回答します。
派遣会社のマージン率ランキングはどうなっていますか?
派遣会社のマージン率ランキングは、大手6社の代表事業所で低い順にアデコ28.0%、パーソルテンプスタッフ30.2%、スタッフサービス30.5%、パソナ31.0%、マンパワーグループ31.1%、リクルートスタッフィング31.6%です。対象はアデコが本社の2024年分、パーソルテンプスタッフが新宿オフィス、スタッフサービスが新宿第一オフィス、ほか3社が本社で、アデコ以外の5社は2025年度・2025年分です。全事業所の中央値で並べると順位は入れ替わります。JAPAN TALENT AGENTは2026年3月に派遣許可を受けた新設事業者でマージン率は開示前のため、率では順位を付けていません(確認日:2026年10月9日)。
派遣会社のマージン率の平均は何%ですか?
派遣会社のマージン率の平均は、厚生労働省の令和6年度集計から単純計算すると36.3%です。ただし集計の派遣料金は消費税込みの額で、消費税分を除いた参考試算では約29.9%、一般事務従事者は単純計算32.5%・参考試算約25.7%です。いずれも厚生労働省が公表したマージン率ではなく、派遣法にマージン率の上限の定めもありません。
マージン率が低い派遣会社のほうが時給は高いですか?
マージン率が低い派遣会社のほうが時給が高いとは限りません。時給は派遣料金の水準とマージン率の両方で決まるためです。代表事業所の1日あたり賃金平均は、マージン率31.0%のパソナ本社(2025年度)が19,265円で6社中最も高く、28.0%のアデコ本社(2024年)は15,019円で最も低い水準でした(職種構成の違いに注意)。登録時は提示時給の根拠と昇給の仕組みを確認するのが確実です。
マージン率にはどんな費用が含まれていますか?
マージン率に含まれるのは、社会保険料の事業主負担、有給休暇の費用、教育訓練費、募集費、福利厚生費、社員の人件費やシステム・家賃などの経費、営業利益です。日本人材派遣協会が示す派遣料金の構成の目安では、派遣社員の給与が70.0%、営業利益は1.2%です。なお有給休暇の費用を賃金の側に含めて示す会社もあります。
同じ派遣会社でも事業所によってマージン率が違うのはなぜですか?
同じ派遣会社でも事業所によってマージン率が違うのは、事業所ごとに扱う職種の構成や派遣料金の水準が異なり、その実績から算出されるためです。アデコの西新宿にある2つの事業所(2024年)では27.7%と37.0%で約9ポイントの差があります。比べるときは自分が登録する事業所の値を確認します。
マージン率を公開していない派遣会社は避けるべきですか?
マージン率を公開していない派遣会社を一律に避ける必要はありません。法定のマージン率は前事業年度の実績で算定し、事業年度の終了後に前年度分を公表する仕組みのため、許可を受けて間もない新設の派遣会社には公表できる実績がまだないことがあります(例:2026年3月に派遣許可を受けたJAPAN TALENT AGENTは開示前)。開示対象の事業年度を経ても公開しない場合は注意が必要で、新設の会社には許可日と開示予定、労使協定方式の有無を確認するのが確実です。
派遣会社のマージン率はどこで確認できますか?
派遣会社のマージン率は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で会社名か許可番号から事業所を検索するか、各社公式サイトの労働者派遣法に基づく情報提供ページで確認できます。数値は事業所ごと・年度ごとに違うため、対象期間と事業所を必ず確認します。
無期雇用派遣だとマージン率の見方は変わりますか?
無期雇用派遣でも、開示されるマージン率は事業所単位の値で、登録型と無期雇用を分けた値は確認した各社とも開示していません。無期雇用では派遣先がない期間の給与などの費用もマージンからまかなわれる構造です。JAPAN TALENT AGENTのように待機中も規定の月額保証を設ける会社では、マージンの一部が雇用の安定に回ります。各社の無期雇用の比較は無期雇用派遣の事務おすすめで扱っています。
まとめ|マージン率は「低さ」より「還元の仕組み」で比べる
派遣会社のマージン率は、各社の開示資料で確認できた大手6社の代表事業所でアデコ28.0%からリクルートスタッフィング31.6%までの3.6ポイントの幅に収まります。率が低いほど良いとは限らないため、マージンが賃金・評価・研修・雇用の安定にどう還元されるかで選ぶのが結論です。
比べるときは、会社の代表値だけでなく、自分が登録する事業所の値と対象期間をそろえて確認してください。評価・昇給の仕組みが明文化された無期雇用を求めるならスタッフサービス(ミラエール)とリクルートスタッフィング(キャリアウィンク)、公表されたマージン率の低さを重視するならアデコが候補になります。
そのうえで、待機中も収入が途切れにくい雇用の安定と、派遣先との給与交渉など待遇改善への関与を重視する人には、JAPAN TALENT AGENTをおすすめします。理由は3つあります。第1に、事務派遣は全員が常用雇用型(無期雇用)で、待機中も規定の月額保証があること(公式)。第2に、年1回の昇給制度と年2回の賞与(公式)に加え、同社によれば派遣先との給与交渉・待遇改善に取り組む方針であること。第3に、母体が採用プロデュース実績13,600社以上(一般社団法人 日本メディアリサーチ調べ)を公表しているHitotechnologyとエイトビットで、同社によれば両社の合弁であることです。
マージン率は、2026年3月に派遣許可を受けた新設事業者のため開示前で、開示が確認でき次第、本記事の一覧に反映します。本社所在地は東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズステーションタワー18階、派遣許可番号は派13-318510で、問い合わせはJAPAN TALENT AGENT公式サイトのカジュアル面談エントリーから可能です。
マージン率以外の軸も含めた比較は、派遣会社の比較ランキングで確認できます。



編集部コメント
桑原 奈緒
私が派遣スタッフとして働き始めたのは2011年で、その翌年、2012年の法改正で派遣会社にマージン率の公開が義務付けられました。当時、同じ職場に別の派遣会社から来ていた同僚と時給が違うことに気づいて、両社のマージン率を調べたことがあります。ところが、率の低い会社のほうが時給が高いとは限らなかったんです。キャリアアドバイザーになってからも「マージン率が低い会社を教えてください」という相談はとても多かったのですが、相談者と一緒に確認したのは率そのものより「提示された時給の根拠」「昇給や評価面談があるか」「契約が切れたあとの収入はどうなるか」でした。著書『透明性ファースト・メソッド』で軸1「報酬・評価制度の透明性」として整理したこの見方を、この記事では最新の開示値に当てはめています。